ヤマトホールディングス(9064)
値上げしても数量が減る、宅配便最大手が抱える構造課題
宅配便最大手のヤマトホールディングスは、2026年3月期に期初予想を大きく下回る決算となり、新社長のもとで抜本的な構造改革に着手した。値上げをしても荷物の取扱数量が落ち込むという構造的な課題を抱えている。
増収増益も、期初予想を大幅に下回る着地
2026年3月期の連結決算は、営業収益が前期比5.8%増の1兆8,656億円、営業利益は同97.9%増の283億円と増収増益を確保したものの、期初予想の営業利益400億円を116億円下回った。純利益は136億円(前期比64.0%減)と大幅な減益で、前期に本社ビル等のセール・アンド・リースバックで計上した特別利益の反動も響いている。第3四半期に宅急便の取扱数量が急減し、労務費・委託費の調整が追いつかなかったことが98億円の減益要因になった。
新社長が「聖域なき見直し」を宣言、中計目標も下方修正
2026年5月1日付で就任した桜井新社長は、決算発表の場で「従来のやり方にとらわれない聖域なき見直し」を掲げ、2027年3月期の営業利益420億円必達を宣言した。プライシングの適正化で210億円、AI活用によるコスト適正化で40億円、法人向けビジネス拡大で50億円の増益を計画している。あわせて、2027年3月期を最終年度とする中期経営計画の数値目標も、売上高を2兆〜2兆4,000億円から1兆9,400億円へ、営業利益を1,200〜1,600億円から600億円へと、大幅に下方修正した。
直近四半期も4期連続の赤字、値上げと数量減のジレンマ
2026年8月に発表された2026年4〜6月期決算では、純損失が58億円となり、4〜6月期として4期連続の最終赤字となった。宅配便の平均単価は法人・個人向け合計で前年同期比2.5%上昇したものの、取扱数量は3%減少し、これが51億円の減益要因になった。人件費の負担や事業拡大に向けた投資もかさんでいる。通期の業績予想自体は据え置かれ、営業収益1兆9,180億円(前期比3%増)、純利益160億円(同17%増)としている。
まとめ
物価高による消費意欲の減退で荷動きが鈍る中、値上げと数量確保を両立させる難しさが業績の重しになっている。今後は新社長のもとでの構造改革がどこまで実を結ぶか、AI活用によるコスト削減の進捗が、業績回復のカギになりそうだ。
※本記事は公表されている決算情報をもとに構成した情報提供を目的とするものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。