東京エレクトロン(8035)
営業減益でも純利益は過去最高、AI投資の波に乗る上期
半導体製造装置大手の東京エレクトロンは、2026年3月期に営業利益が減益となる一方、純利益は過去最高を更新するというねじれた決算だった。その裏側と、AI半導体投資の恩恵を受ける今期の勢いを見る。
売上・純利益は過去最高、でも営業利益は減益
2026年3月期の連結決算は、売上高が前期比0.5%増の2兆4,435億円と過去最高を更新した。一方で営業利益は6,249億円(前期比10.4%減)の減益。宮城県・熊本県での新拠点整備など研究開発費が前期比11.1%増の2,778億円に膨らんだことや、部材価格の高騰、サービスエンジニアの増員による固定費増が利益を圧迫した。ただし純利益は5,744億円(前期比5.6%増)で過去最高となっている。これは政策保有株式の売却によって1,154億円の特別利益を計上したためで、本業の利益率低下を一時的な要因が覆い隠す形になった。
AI半導体向け投資が牽引、上期は大幅増収増益
会社側が示した2026年度上期(2026年4〜9月)の業績予想は、売上高1兆5,700億円(前年同期比33%増)、営業利益4,310億円(同42%増)、純利益3,280億円(同36%増)と大幅な増収増益を見込む。生成AI向け半導体の需要拡大を背景に、韓国のメモリー大手や台湾の受託製造大手が生産能力を拡大しており、その恩恵を受ける形だ。市場の成長スピードが速く変動要因が多いとして、通期の見通しはあえて開示していないが、アナリストの予想平均では2027年3月期に売上高が3兆円を突破するとの見方が出ている。
直近4Qで急回復、AIサーバー向けが過半を占める
2026年3月期第4四半期(1〜3月)単体では、売上高7,118億円、営業利益2,056億円と、出荷タイミングで落ち込んだ前四半期から大きく回復した。新規装置の売上構成を見ると、AIサーバー向けの最先端投資が活発なロジック・ファウンドリ分野が59%を占め、HBM(広帯域メモリ)向けの投資が続くDRAM分野が31%となるなど、AI関連需要が装置需要をけん引する構図がはっきりしている。
まとめ
前期は費用増と資産売却益が入り交じる分かりにくい決算だったが、今期はAI半導体投資という明確な追い風を受けて増収増益基調に転じている。今後はDRAMや最先端ロジック向け投資の持続性、中国向け売上比率の変化などが、株価材料として意識されそうだ。
※本記事は公表されている決算情報をもとに構成した情報提供を目的とするものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。