王子ホールディングス(3861)
150年企業が目指す「木質バイオマス企業」への転換
紙・パルプ国内最大手の王子ホールディングスは、2026年3月期にパルプ市況の悪化で経常利益が大きく落ち込んだ。だが会社が掲げるのは、単なる製紙会社にとどまらない「木質バイオマス企業」への大転換だ。
経常利益は4割減も、純利益は特別利益で増益
2026年3月期の連結決算は、経常利益が前期比40.9%減の405億円と大きく落ち込んだ。国内の紙製品販売数量の減少や、輸出パルプ市況の悪化が響いた。一方、純利益は特別利益の計上もあって556億円(前年比20.4%増)となり、経常利益の落ち込みほどには悪化していない。1株当たり当期純利益は61.10円。3期連続の増収は確保している。
オーストリアの木質バイオマス企業を買収
会社は「中期経営計画2027」のもとで事業ポートフォリオの転換を加速させ、木質バイオマスビジネスの中核化を掲げている。その一環として、オーストリアのAustroCel Hallein社を中心とする木質バイオマス関連企業を、欧州子会社を通じて買収した。紙の需要が構造的に縮小する中、森林資源を生かした新たな成長領域を切り拓こうとする動きだ。株主還元にも力を入れており、自社株買いは2025年度目標500億円に対して470億円まで進捗(94%)している。2026年5月には自己株式1億株(発行済み株式の9.9%)の消却も決議した。
来期は本業も回復、営業利益10%超・純利益40%超の増益見通し
会社側が示す2027年3月期の見通しでは、経常利益が450億円(前期比11.0%増)に回復する計画だ。市場関係者向けの説明では、営業利益は前年比10%超、当期純利益は40%超の増益を見込んでいるとされ、年間配当も増配を予定している。価格修正の効果を通期で織り込めることに加え、低収益事業の撤退・売却、木質バイオマス領域への投資が、次の利益回復の材料になるとみられている。
まとめ
パルプ市況という景気敏感な要因で今期は苦しんだものの、150年の歴史を持つ製紙会社が新たな成長領域への転換を進めている点が特徴的だ。今後は木質バイオマス事業の収益化ペースと、紙製品の価格転嫁の浸透度合いが、株価材料として意識されそうだ。
※本記事は公表されている決算情報をもとに構成した情報提供を目的とするものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。