三井不動産(8801)
14期連続の増収、分譲事業は「量より利益率」へ転換
三井不動産は2026年3月期、売上高が14期連続で増収となり、営業利益・経常利益・純利益はいずれも4期連続で過去最高を更新した。安定成長の裏では、分譲マンション事業を「量より利益率」重視へ切り替える戦略転換も進んでいる。
4期連続で各利益が過去最高を更新
2026年3月期の連結決算は、売上高が前期比3.2%増の2兆7,097億円(14期連続増収)、事業利益が同11.6%増の4,451億円(2期連続最高)、純利益は同12.0%増の2,786億円(4期連続最高)となった。ROE(自己資本利益率)は8.7%となり、2026年度の目標だった8.5%以上を1年前倒しで達成している。年間配当は前期の31円から35円に増配した。
分譲は「量より利益率」、賃貸はコスト増が重荷に
セグメント別に見ると、分譲事業は売上高こそ減少したものの事業利益は大きく改善しており、マンションの販売戸数を追うより利益率を重視する戦略への転換がうかがえる。一方、賃貸事業はオフィスや商業施設、ホテルの稼働改善で売上は拡大しているが、テナント獲得競争や設備更新投資の負担が重く、売上の伸びほど利益は伸びていない。大規模再開発や海外投資を積極的に進めていることもあり、現金残高はやや減少している。
2027年3月期も過去最高更新を計画
2027年3月期の業績見通しは、事業利益4,500億円(前期比48億円増)、純利益2,850億円(同63億円増)と、いずれも過去最高の更新を見込む。国内外のオフィス賃料上昇や商業施設売上増加による賃貸利益の伸長に加え、資産入れ替えの加速による分譲利益の伸長を織り込んでいる。年間配当は2円増配の37円を予定し、400億円の自己株式取得も決定するなど、株主還元にも積極的な姿勢を示している。
まとめ
着実な増収増益を続ける安定感が最大の特徴だが、賃貸事業のコスト構造や、積極投資による有利子負債の増加ペースには注意が必要だ。今後は資産入れ替えの進捗と、海外投資の収益化スピードが株価材料として意識されそうだ。
※本記事は公表されている決算情報をもとに構成した情報提供を目的とするものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。