第一三共(4568)
主力「エンハーツ」は絶好調、それでも株価は2年で6割安
抗がん剤「エンハーツ」を中心に売上を伸ばし続けている第一三共。だが株価は2024年8月の上場来高値から2年で約6割下落している。業績と株価が逆方向を向いているように見えるこの銘柄の実態を確認する。
エンハーツが牽引、直近四半期は売上21%増
2026年7月に発表された2026年度第1四半期(4〜6月期)決算では、売上収益が前年同期比21.1%増の5,747億円となった。主力の抗体薬物複合体(ADC)「エンハーツ」の売上が前年同期比48.9%増の2,398億円と大きく伸び、後継品にあたる「ダトロウェイ」も日米で伸長するなど、成長ドライバーは明確だ。ただし営業利益は欧州事業の再編費用などが響き、前年同期比12.0%減の851億円、純利益も同19.7%減の686億円となっている。
前期は「増収でも一過性費用で表面減益」
2026年3月期(2025年4月〜2026年3月)の実績は、売上収益2兆1,230億円(前年度比12.6%増)と過去最高を更新した一方、コア事業以外での一過性の支出が響き、表面上の営業利益は2,290億円(同31.0%減)となった。実質的な稼ぐ力を示すコア営業利益ベースでは3,889億円(前期比増益)であり、本業の成長自体は続いている。会社側は2026年度通期の売上収益を2兆3,400億円まで上方修正しており、成長トレンドは崩れていない。
好業績でも株価は2年で約6割下落
一方で株価は、2024年8月につけた上場来高値6,257円から、2026年8月時点で2,570円前後まで下落しており、下落率は約6割に達する。年間騰落率で見ても2025年は約23%安、2026年もここまで約23%安と、2年連続で2割を超える下落が続いている。エンハーツの売上そのものは伸び続けているため、株価の重さは、将来の成長期待の織り込み具合や、大型ADC以降の次の成長ドライバーが明確でないことへの懸念など、業績そのもの以外の要因が影響しているとみられる。
まとめ
足元の業績は主力製品の伸びに支えられて底堅い一方、株価は逆行するように下落基調が続いている。業績と株価のギャップが今後どちらの方向で埋まっていくのか、次の中期経営計画やパイプラインの進捗が注目点になりそうだ。
※本記事は公表されている決算情報および株価情報をもとに構成した情報提供を目的とするものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。