味の素(2802)
調味料メーカーが握る、AI半導体の隠れた成長事業
「味の素」といえば調味料のイメージが強いが、実は同社の材料が最先端のAIサーバー向け半導体パッケージに使われている。2026年3月期の決算は、この意外な事業が業績を大きく押し上げた内容だった。
2期連続の最高売上・二桁増益
2026年3月期の連結決算は、売上高が前期比3.5%増の1兆5,837億円、事業利益(会社独自の利益指標)が同13.7%増の1,811億円と、いずれも2期連続で過去最高を更新した。営業利益は固定資産売却益の計上もあって同75.0%増の1,994億円、純利益は同91.6%増の1,346億円という大幅増益となった。調味料・食品事業とヘルスケア等事業がそろって増収増益となり、全体を押し上げている。
「ABF」が半導体パッケージ基板材料の世界標準に
成長の主役はヘルスケア等セグメントの中の「ファンクショナルマテリアルズ」事業だ。同事業が手がける半導体パッケージ基板材料「味の素ビルドアップフィルム(ABF)」は、AIサーバーや高性能基板向けの需要が非常に強く、直近では売上高が前年同期比で約3割増という高い伸びを記録している。旺盛な需要に対応するため、2025年10月には新工場が本格稼働し、AI用途向けのABFワニス製造能力を強化した。半導体の生産拡大がそのまま素材需要の追い風になる構図だ。
2027年3月期は増収増益もペースはやや鈍化予想
2027年3月期の業績予想は、売上高1兆7,230億円(前期比8.8%増)、事業利益1,970億円(同8.7%増)を見込む一方、純利益は1,200億円(同10.9%減)とされている。これは前期に計上した固定資産売却益の反動によるもので、本業の増収増益基調自体は続く計画だ。年間配当は前期の48円から50円へ増配し、累進配当政策のもとで株主還元を強化する方針を掲げている。
まとめ
調味料・食品事業の安定した収益に加え、AI半導体関連の材料事業という成長エンジンを併せ持つ点が、この銘柄のユニークさだ。今後はABF事業の増産ペースと、AIサーバー市場全体の投資動向が、業績の伸びしろを左右しそうだ。
※本記事は公表されている決算情報をもとに構成した情報提供を目的とするものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。